ジョージアという国を聞いたことはありますか?
ヨーロッパとアジアの境界あたりに位置しており、シュクメルリというジョージア料理が日本でも販売され、知名度がだんだん上がってきている国です。
今回は、そんなジョージアの魅力がたっぷり詰まった映画『葡萄畑に帰ろう』についてまとめました。
社会風刺の要素含みつつも、ディズニー映画かのようなファンシーでユーモラスなシーンもある不思議な作品です。
ジョージアのことについてあまり良く知らない方でも楽しめるよう、ジョージアという国についても触れながらご紹介していきます。
コンテンツ
- 国名:ジョージア
※2015年まで日本では「グルジア」という名称が使われていました。 - 首都:トビリシ
- 人口:400万人 (2020年)
- 公用語:ジョージア語
- 独立:1991年4月9日 (ソビエト連邦から独立)
- 民族:ジョージア人が約90%。その他アゼルバイジャン人、アルメニア人、ロシア人など。
ジョージアは西アジア、または東ヨーロッパに分類される国で、シルクロードの要所として栄えてきました。
国の西部は黒海に面している一方、ロシアと接する北部は標高5,000m級の山岳地帯であり、自然に恵まれた国であることが特徴です。
2019年から駐日ジョージア臨時代理大を務めるティムラズ・レジャバさんのTwitterが、日本語が巧妙すぎるということで話題にもなりました。
ジョージアの特徴として食文化があり、その1つがジョージアワインです。
ジョージアでは紀元前6000年頃からワインが造られ始めたと考えられており、世界最古のワイン発祥の地でもあります。
白ぶどうを使ったオレンジがかった色調の「アンバーワイン」が有名です。どんな料理にもよく合うといわれ、和食とも相性がいいというのだから驚きですよね。
ジョージアの知名度を上げたもう一つの食文化は、鶏肉をガーリックソースで煮込んだ伝統料理「シュクメルリ」です。
2019年に松屋が「シュクメルリ鍋定食」を「世界一にんにくをおいしく食べるための料理」というキャッチフレーズで販売したほか、ファミリーマートや日清カップヌードルでも商品化されました。
ヨーロッパ、アジア、中東、ロシアなどさまざまな国に囲まれたジョージアだからこその、魅力的な食文化を味わってみてください。
他にもジョージア風の小籠包「ヒンカリ」やチーズ入りパンの「ハチャプリ」など、日本人の口にも合う料理がたくさんありますよ。
・タイトル:『葡萄畑に帰ろう』 (原題: “The Chair”)
・制作:2017年(ジョージア)
・監督:エルダル・シェンゲラヤ
・上映時間:99分
・ジャンル:コメディ、ドラマ
トビリシ出身の巨匠エルダル・シェンゲラヤが21年ぶりにメガホンを取った作品です
タイトルからほのぼの人間ドラマを想像された方は、残念でした。
本作は、ジョージア国会副議長も務めたことがあるシェンゲラヤ監督が、その経験から製作した社会風刺コメディとなっています。
本作の特徴として、原題が”The Chair”=「イス」となっている通り、権力の象徴である「イス」が1人のキャラクターと登場します。
腐敗した社会とそこに関わる人々が、「イス」に翻弄されるユーモラスさが印象的でした。
ギオルギ/ニカ・タバセ
「難民追い出し省」の大臣。妻を早くに亡くして、息子のニカと義姉のマグダと3人で暮らしていた。
ある日、野党に政権を奪われたことで、大臣の座を下ろされてしまう。さらに不正取引で入手していた豪邸までも失うことになってしまい…。
アナ/ナタリア・ジュゲリ
難民街で暮らしていた美しい女性。ギオルギに助けられたことをきっかけに、英語教師として住み込みで働くことになる。
マグダ/ニネリ・チャンクヴェターゼ
ギオルギと同居している義理の姉。アナのことを気に入らず、冷たくあたる。
レナ/ナナ・ショニア
ギオルギの家の使用人。ギオルギからの待遇に不満を抱いている。ギオルギの不正書類を見つけ、彼を陥れようと思いつく。
「難民追い出し省」の大臣として権力のイスに座る男 ギオルギが物語の主人公。彼は妻を早くに亡くしたものの、息子ニカと義姉マグダと一緒に豪華な家で暮らしていた。
ある日、難民街で出会った女性ドナラに一目惚れし、ニカの英語の家庭教師として住まわせることにする。だがドナラは、最初はニカとマグダと打ち解けることができず、冷たい態度を取られてしまう。
一度は家を去ってしまうドナラ。しかしギオルギの助けもあって家に戻り、今度はニカと良い関係を築けるようになる。
そんなとき、ギオルギの所属する与党が大敗を喫し、大臣をクビに。さらに不運は続き、不正文書が明るみとなってしまい、ギオルギたちが住んでいた家までも差し押さえとなってしまう。
狂いはじめた歯車は簡単には止まらず、次から次へと災難に見舞われていくギオルギだったが、葡萄畑を営む故郷の母を訪れたことをきっかけに、彼の中で変化がおこり…。
この映画のキーとなるのは「イス」。ギオルギが購入した豪華なイスが権力の象徴として登場します。
「イス」はただの家具ではなく、突然動き、しゃべり、空を飛ぶのです!
あげくの果てには、『美女と野獣』さながらに、別の家具と一緒に踊り始めます。
ジョージアの政治の批判をしながらもコミカルなイスが出てくることで、重い雰囲気にならず、軽快なコメディ作品にまとめられています。
ジョージアならではの食事シーンも本作のみどころの一つです。
作中には食卓での食事やパーティーのシーンなど、何度かジョージアの食事風景が出てきます。
ヤギの角を使った「カンツィ」というジョージア特有のワイングラスがでてくるなど、ジョージアの魅力がたっぷり詰まったシーンになっています。
今回紹介したジョージアワインももちろん出てくるので、ぜひチェックしてみてください。