「アート思考」という言葉が注目されるようになり、美術の知識の重要性もあがってきています。
美術に関する資格試験として「美術検定」なるものがあるということで、4級に挑戦しました。
しかし勉強するなかでこんな悩みに直面…。
ニッチな資格試験すぎて、どうやって勉強すればいいのかわからん…。
勉強方法に戸惑い、がむしゃらに勉強を進めたので想定以上に時間がかかってしまいました。
そこで今回は、私のように勉強方法に困っている方やこれから美術検定を受験したい方へ、おすすめの勉強法や教材をご紹介していきます。
コンテンツ
美術検定は、西洋から日本まで美術に関する広い知識・教養を問われる検定試験です。
アーティストのような作品を「つくる力」ではなく、作品を「みる力」を求められます。
「みる力」を養うことで、美術館など作品を観るときに違った角度や深い視点で楽しめるようになったり、ビジネスにも役立つ教養を身につけたりできることが魅力です。
1~4級まで4段階に分かれていて、各級について以下のとおり定義されています。
4級<アートを楽しむ>
西洋美術・日本美術の基礎知識として、代表的な作品や作家を知る。
3級<アートの歴史を知る>
西洋美術・日本美術の基礎知識に加え、動向や形式など美術史に関わる概念を理解し、歴史的な流れを知る。
2級<アートの知見を広げる>
美術に関する幅広い知識を持ち、美術史に関わる様々な概念を理解する。また美術鑑賞の場の役割や現状を理解する。
1級 アートナビゲーター<アートを伝える>
美術に関する幅広い知識・情報をもとに、美術作品や美術をめぐる動向について自身で解釈・思考ができる。さらに他者に対し、より深い作品の理解へ導くための、具体的なナビゲート(道案内)の方法や手段を考えることができる。
https://www.bijutsukentei.com/coverage
2023年の開催はすべてオンライン受験となり、パソコンやタブレットから受験することができます。
4級は通年いつでも受験することができ、3級以上は年に1回の開催です。
(2023年の1・2・3級開催は11月11日(土)・12日(日) 10:00ー18:00)
私は2021年4月にパソコンを使って受験しました。
気軽に受けるメリットがありますが、いつでも受けられると思って勉強をズルズル先延ばしながら進めてしまったのが反省点でした。
受験日のターゲットをしっかりと定めて、逆算しながら勉強することをオススメします!
美術検定に合格すると、特定の美術館・施設の入場料金割引 (ポーラ美術館、横浜美術館など21か所)が使えるようになります。
横浜美術館によく行く私にとっては、かなりありがたい特典です。
ビジネスなどに役立つかという観点では、残念ながら、実益に直結する資格ではないです。
一部の大学では入試の優遇措置を受けられるようですが、転職で有利になったり、学芸員になるために役立ったりはしません。
それでも、実際に受験した感想としては美術の知識を深めるための良い機会になったと考えています。
美術検定を受験することで、美術をいろんな見方ができるようになり、これからの美術鑑賞をもっと楽しめるようになるはずです。
美術検定4級の詳細は以下のとおりです。
- 出題範囲:西洋美術・日本美術の基礎知識
- 美術作品や作家、時代、様式、運動など美術に関する知識を問う。
- 出題形式:選択式 (4択、計50問でした)
- 試験時間:45分
- 合格ライン:正答率約60%
- 受験料:3,970円(税込)
美術検定4級は、たまに受験料の割引キャンペーンを実施しています。
私は運良くキャンペーン中に受験ができたので、受験料は3,570円でした。
受験を検討する際は、美術検定の公式ホームページからキャンペーン情報を確認してみると良いでしょう。
出題内容は、前半が西洋美術、後半が日本美術に関する問題でした。
どちらのパートもおおよそ年代順に並んでいるので、美術史全体の流れを知っていると悩んだときも消去法で回答を推測することができました。
そのため、私のように美術の知識に自信がない人は、個別の作品や作家を掘り下げるより前に、美術史をざっと見直すことをオススメします。
具体的な勉強方法は、次のパートで紹介していきます。
美術出版社が出している『知る、わかる、みえる 美術検定4級問題』は必ず目を通しておいたほうが良いです。
練習問題集があり、実際の検定試験の内容・形式とほぼ同じ問題にチャレンジすることができるからです。
出題形式に慣れることで、その後の勉強でどんなポイントに気をつければ良いのかがわかるようになります。
また実際の検定試験では、練習問題集とまったく同じ問題もいくつか出題されていました。
そのため、美術が得意な人でも公式問題集は押さえたほうがいいと思います。
ただし、公式問題集の練習問題パートがモノクロ印刷なので、出題されている作品が見にくいというマイナス点があります。
美術検定4級の公式テキストである『この絵、誰の絵? 100の名作で西洋・日本美術入門』などを活用するか、ネットなどで画像を検索しながら進めることをオススメします。
受験に向けて取り組んだ中で特に役に立ったことは、西洋美術史の全体の流れをしっかり学んだことでした。
美術が得意な人にとっては当たり前な知識かもしれませんが、私のように美術史に詳しくない人は、まず西洋美術史をざっと勉強しましょう。
美術検定4級の問題はだいたい年代順に出題されます。
美術史の流れを押さえた上で、それぞれの作品や作家がどの時代に属しているのかを確認したほうが覚えやすいのです。
私はいきなり個別の作家の勉強を始めてしまったので、それぞれの作家や作品の関係性が分からずに苦労しました。
例えば印象派の誕生が、美術史上どれほど新しい試みだったのか、さっぱりでした(笑)
そのため、西洋美術史の概略が分かる本を使って、まずは全体像を把握することをオススメします。
西洋美術史と同じように、日本美術史も先に全体の流れを勉強したほうが勉強がはかどりました。
私が日本美術史の勉強に使ったのは、株式会社野村美術が運営するYoutubeチャンネル「掛軸塾」の日本絵画史の解説動画です。
掛軸の製造や卸販売などを行っているプロが、日本絵画史を古代から現代まで解説している、大変ありがたい動画です。
作品や作家の画像を画面に表示しながら解説してくれるうえに、ホームページ上でまとめ資料を公開されています。
江戸時代はいろいろな流派や作家・作品が出てくるのですが、表に整理してくれているのでとても助かりました。
日本史はひと通り理解しているけど、美術史と関連づけて学んだことがない人も多いと思うので、復習も兼ねて動画をチェックすることをオススメします。
私は、全体の流れを知った上で各作品や作家を掘り下げる方法で、勉強を進めました。
私はこのようなポイントからで勉強を進めました。
- 美術検定の公式問題集で、出題形式を知る
- 西洋美術史の全体の流れを理解する
- 日本美術史はYoutubeで勉強する
- 西洋・日本美術史の大きな流れがわかったら、個別の作家・作品を掘り下げる
時間はかかってしまいましたが、無事に美術検定4級に合格できました!
次は3級の受験に向けて、勉強を続けていきたいと思います!