「アートは大人の教養として必要だ!」
こんなことがメディアでよく言われていますし、私もアートを学ぶことは大切なことだと考えています。
とはいえ、これまでアートにあまり馴染みがない人にとっては、
・アートの本が多すぎてどれから手をつけて良いのやら…
・入門書を読んでみたけど、なんちゃら派とかたくさんあって難しくない?
という方も多いのではないかとと思います。
そこで今回は、元・美術大嫌いな私でも楽しく読むことができた「専門知識がなくても読みやすいアートの本」をご紹介します。
美術の教科書のような堅苦しいものは避けて厳選してみました。
3つのカテゴリに分けたので、気になったところからでもチェックしてみてください!
コンテンツ
・アート初心者が抱きがちな疑問を読みやすい対話形式で解説
・迷ったらとりあえずこれ!というくらいシンプルかつ網羅的な内容
・読み終わった頃には「美術館に行きたい!」という気持ちにさせてくれる一冊
東京大学の教授・三浦俊彦による対話形式のアート入門書です。
この本の特徴は、アートに関するテーマが幅広く網羅されている点です。
アートの種類や価値、アート史といった大枠から始まり、現代アートの魅力や鑑賞・創作へと話が進んでいきます。
「アートに触れてみたい!」という気持ちが揺り動かされること間違いなしでしょう。
私自身、アートを勉強し始めたときに出会いたかったなという一冊です。
・現役の美術教師が6つのアート作品を用いて伝える「アート思考」の本
・作品を観て自由に感じて・考える鑑賞方法を知ることができる
・難しい専門用語がほとんど使われていないので読みやすい
20世紀の有名なアート作品6作を使って、固定観念にとらわれない「自分なりのものの見方」を見つけるヒントをくれる本です。
また、本書ではアーティストたちがどのように常識を壊して革新を起こしてきたのかの解説の合間に、実践パートが設けられています。
実際に手を動かして考えてみることで、自分ごととして「アート思考」を体験することができます。
「自分なりの視点」で物事を捉えて、「自分なりの答え」を出すという考え方は、13歳だけではなく大人まで広い世代に必要なものだと私は思います。
・同時代のアーティストを並べて誰が一番「ヘンタイ」かを語る斬新な構成
・美術評論家が手掛けているので知識も身につく
・対話形式で書かれているので、スラスラ読みやすい!
本書は、テレビなどでも活躍する美術評論家・山田五郎が有名アーティスト12名の「ヘンタイ」さを解説する美術書です。
「ヘンタイ」とはいやらしい意味ではなく、こだわりが強い「キャラクター性」のことを指しています。
堅苦しいイメージを抱きがちなアーティストたちを「ヘンタイ」エピソードと共に紹介することで、アートに対するハードルを下げてくれることでしょう。
例えば、筋骨隆々の人物ばかり描いていた特徴があるミケランジェロのことを「筋肉フェチのワーカホリック」と表現しており、私の印象に強烈に残っています。
またダ・ヴィンチは《モナ・リザ》を生涯持ち歩いて加筆を繰り返していたエピソードは、私も初めて知ったので驚きました。
「ヘンタイ」エピソードと共に作品を観ることで、アートが苦手な人でも気軽に楽しむことができると思います。
電子書籍版だとカラーの絵画も見られるのでおすすめです!
・絵画に込められた恐ろしくドラマチックなストーリーを解説
・ただ「絵を観る」だけではなく「考える」楽しさを教えてくれる一冊
・当時の世相や文化史なども広く解説してくれるので知識がなくてもわかりやすい
『怖い絵』は、西洋絵画に隠された「恐怖」のストーリーを通じてアート鑑賞の魅力を伝えてくれる本です。
22作の絵画を取り上げ、絵画を観るだけではわからない歴史的な背景やシチュエーションを解説しています。
隠されていたストーリーを知って初めて感じる恐怖と好奇心の高ぶりは、今までにない新しいアート鑑賞体験となること間違いなし。
筆者の中野京子の文体も本書の魅力のひとつで、詩的な解説は読み応え満点です。
2017年には上野の森美術館でこの本をテーマにした展覧会が開かれたほど、根強い人気のある一冊です。
・話題の覆面アーティスト・バンクシーのことが網羅的にわかる本
・バンクシーの年表や関係者のインタビューなど多角的にバンクシーを解説
・バンクシーの人気の理由を知ることで、現代アートの価値やあり方を知ることができる
世界中の路上や壁などに作品を残す神出鬼没のアーティストであるバンクシーは世界で最も注目されているアーティストの一人とも言われています。
彼の代表作《風船と少女》がオークションで落札された瞬間にシュレッダーで細切れにされた事件は、日本でも広く報じられました。
そんなバンクシーの過去の作品はもちろん、本人の語録や年表、関係者のインタビューなど、多角的なバンクシー解説が収められているのが本書の特徴です。
高い評価を受けているバンクシーを知ることを通して、現代アートの人気の理由にも触れることができるかもしれません。
・現代アーティスト・スプツニ子!の半生を綴ったエッセイ
・「普通」であることから「はみだす」ことを選んだ人生論から生きるヒントが見つかる
・当たり前を壊すアーティストの原動力を感じることができる一冊
スプツニ子!は、最先端のテクノロジーとアートを融合させた作品を多く発表してきた現代アーティストです。
幼少期から「普通」なことから「はみだし」続けたスプツニ子!の生き方論を綴ったのが本書『はみだす力』。
「未来に起こるかもしれないこと」を問題提起する「スペキュラティブ・デザイン」の手法によって創作される作品は、世界でも評価され各国で展示が行われています。
生理を疑似体験できるマシーン、歩くと菜の花の種が撒かれるハイヒールなど初期の作品もカラーで収められているのでおすすめです。
私が現代アートにハマったきっかけのアーティストです。
テクノロジーを活用したアート作品には、考えさせられることがたくさんあります。
今回は初めてアートに触れる人でも読みやすいアートの本を6冊ご紹介しました。
- 『東大の先生! 超わかりやすくビジネスに効くアートを教えてください!』
- 『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』
- 『ヘンタイ美術館』
- 『怖い絵』
- 『バンクシーとは誰か?【完全版】』
- 『はみだす力』
それぞれ個性的な内容となっているので、本当はすべて読んでもらいたいのですが、気になった1冊だけでもぜひ手にとってみてください。
ハードルが高いと思われがちなアートの世界を少しでも身近なものとして感じていただければ幸いです。
お読みいただきありがとうございました。