上野の国立西洋美術館で「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」が始まりました!
ピカソが好きな方にも、「正直ピカソって何がすごいのかわからない…」という方にも、おすすめしたい展示会でした。
コンテンツ
ドイツのベルリンにあるベルクグリューン美術館のコレクションを中心に、108点の作品が公開されています。
作品としては、パブロ・ピカソの作品を中心に、パウル・クレー、アンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティ、ジョルジュ・ブラックといったピカソと同年代の20世紀の芸術で構成されています。
ピカソの作品は1904年に描かれた作品から始まり、1970年の晩年の作品に至るまで幅広く公開されており、ピカソの作風の変遷をじっくり追うことができます。
展示会の観覧チケットは、オンラインで購入できる日時指定予約券と、美術館窓口で販売している当日券があります。
土日でも当日券を販売していることもあるようですが、私がいったときは窓口で購入待ちの列ができていたので、オンラインで購入しておくほうが確実でスムーズだと思います。
- 一般 2,100円
- 大学生 1,500円
- 高校生 1,100円
「ピカソとその時代」展では、俳優の長谷川博己さんによる音声ガイドを借りることができます。
合計35分ほどの音声で、ピカソやクレー、マティス、ジャコメッティの主要な作品を深掘りして解説してくれるので、時間がある方はぜひ聞いてみてください。
- 値段:1台600円
- ガイド件数:21件
- 解説時間:約35分
音声ガイドのお支払いは現金での支払のみだったので、お気をつけください。
私が鑑賞したときの所要時間は2時間弱かかりました。
気になった作品は引き返してじっくり観直したり、写真を撮りながらだったので、人によっては1時間半ほどで観終わるかもしれません。
また、「ピカソとその時代」展のチケットがあれば国立西洋美術館の常設展も鑑賞することができます。
中世から20世紀にかけての貴重な西洋美術を観ることができるので、興味がある方は常設展の鑑賞も予定時間に含めておくようにしましょう。
本展の魅力はなんといっても、「ピカソは何がすごいか?」がよく分かる点だと、私は感じました。
ピカソは91年の生涯で、約15万点もの作品を残した芸術家としても知られています。そしてその作風は一貫していたのではなく、ピカソ自身の状況や、他の作家との関係、戦火がせまっていた社会状況などさまざまなものを反映しながら、作風を変え続けたという一面もありました。
作風が変わりすぎているがゆえに、「よくわからない」という印象を持たれがちであり、正直、鑑賞前の私自身もそう考えていました。
しかし本展では、幅広い年代のさまざまな作風のピカソの作品を一挙に観ることができるので、その作風の振り幅の広さを見事に自分のものとしていたピカソのすごさを堪能できる展示会だったと私は感じています。
- 《ジャウメ・サバルテスの肖像》1904年
- 《座るアルルカン》1905年
- 《裸婦(《アヴィニョンの娘たち》のための習作)》1907年
- 《グラス、花束、ギター、瓶のある静物》1919年
展示会の序盤はピカソの初期の作品が並びます。
《ジャウメ・サバルテスの肖像》は、ピカソの生涯のなかでも「青の時代」と呼ばれる時期の作品です。青を基調とした暗めの色使いで作品制作が行われました。
その後数年でも、赤を基調とした《座るアルルカン》やキュビズムの要素を感じさせる作品を描いており、ピカソの作風の幅広さが感じられました。
- 《彫刻家と彼の彫像》1933年
- 《踊るシレノス》1933年
- 《ミノタウロマキア》1935年
- 《サーカスの馬》1937年
この時代は、ピカソは古代ギリシャ・ローマ時代を理想と捉える古典主義に関心を抱いていたそうです。
古典主義的なテーマが扱われてはいますが、どこか不気味さを感じる作品が多かったように思いました。
- 《緑色のマニキュアをつけたドラ・マール》1937年
- 《座る女》1938年
交際する女性が変わると描く画風が変わるとも言われているピカソ。
展示会の後半では、そんなピカソが描いた女性の作品が並べられています。
《大きな横たわる裸婦》は、今回の展示作品のなかでもかなり大きな作品。実際に作品を前にすると、感じる印象も変わります。
展示会の最後に飾られているのが、1970年の《闘牛士と裸婦》。ピカソの没年が1973年なので、かなり晩年の作品です。
こちらもかなり大きな作品で、歳を重ねてからも大きなキャンバスに女性を描いていたのだなと驚きつつ、それがピカソらしさの一つなのかなと感じました。
ポール・セザンヌは、ピカソやマティスを始めとした同時代の画家たちに大きな影響を与えた人物です。
本展でも、セザンヌに対するピカソの発言を紹介するとともに、4点のセザンヌの作品を観ることができます。
- 《運命のファゴット・ソロ》1918年
- 《夢の都市》1921年
- 《口数の少ない倹約家》1924年
- 《Gの一角》1927年
- 《時計》1933年
展示会の中盤には、クレーの作品を揃えたエリアがあります。展示作品数はなんと30点。
「クレーの企画展だったっけ?」と思ってしまうほど、クレーの世界を堪能することができました。
- 《ニースのアトリエ》1929年
- 《家に住まう沈黙》1947年
- 《植物的要素》1947年
ピカソ、クレーに次いで多く観られるのがアンリ・マティスの作品です。
制作に墨や切り紙を使った作品もあり、マティスも表現の引き出しが多さも見どころの一つでした。
- 《広場Ⅱ》1948-49年
- 《男》1956年
最後に紹介されるのは、細長い人体を表現することで知られているアルベルト・ジャコメッティです。
本展では、彫刻作品だけではなく、絵画作品も観ることができ大満足でした。
※このほか、ジョルジュ・ブラックの作品も数点展示されていますが、写真NGだったので掲載しておりません。
- 会場:国立西洋美術館 (JR上野駅下車(公園口出口)徒歩1分)
- 会期:2022 年 10月8日̶2023 年 1月22日
- 開館時間:9:30〜17:30 / 毎週金・土曜日 9:30〜20:00
- 公式HP https://picasso-and-his-time.jp/
- 2023年2月4日(土)~5月21日(日)に大阪の国立国際美術館で巡回展を開催予定。